蛇のイメージですが、世界でもさまざま異なる気がしました。欧米やヨーロッパでは、医療や毒の印象です。

結局授業でもお話ししましたが、洋の東西を問わず、蛇のイメージの根源には、脱皮を繰り返す性質に由来する「死と再生」があります。古くメソポタミアギルガメシュ神話では、人間に与えられるべき不死の力を奪った蛇が登場しますが、蛇が知の象徴となってゆくのも同根の考え方です。プラスの方向ではギリシアの医神アスクレピオスの杖へ、マイナスの方向では『旧約聖書』のサタンなどへ展開します。日本でも、縄文時代から蛇を再生の象徴と崇める信仰はあり、蛇をレリーフにした縄文土器、蛇を頭に巻いたシャーマンの土偶などが発掘されています。授業で紹介した龍蛇の呪文も、病気をもたらす悪霊を退治するわけですから、やはり医療に関係しますね。