馬と恋に落ちる話は強烈ですが、古代において動物に恋をすることに対する反応というのは、現在と同じでしょうか。

現在においても、高度に都市化・機械化した地域がある一方で、前近代的な風習を色濃く残した地域、共同体が存在しますが、古代においても、古代の古代、古代の近代ともいうべき地域、共同体が存在します。例えば異類婚姻について考える場合、古代の近代においては、例えば儒教的価値観が浸透して、人間と動植物との境界が乱れることは社会、時代の混乱に繋がるとの認識が一般化してゆきます。しかし古代の古代においては、よりプリミティヴな発想のもとに、人間と動植物の区別を截然とせず、人間が動植物に、動植物が人間に入れ替わるような考え方が息づいています。異類婚姻は、後者を基盤として語られながら、前者の影響下に変質を遂げてゆく。当初は人間/異類の対称的関係を語るものであったのが、やがて後者が前者へ従属する悲劇を語るものへ変化してゆくのです。