専門の研究者には、そんな狭いことばっかりしてどうするんだ、ということに没頭する人が多いと思います。そんな人に中高の歴史を教えさせるのはどうかと思うのですが。

どんな学問でもそうだと思うのですが、狭いこと、細かいことを蔑ろにすると、大きなことを構想すること自体ができません。よって、しっかり学問を修めた人であれば、小さなことのひとつひとつをなおざりにしないはずです。逆に、それらを無視して大きなことばかりをいっている人は、自分の依拠している様々な学説についてしっかり検証していない、研究していないということになるので、その語っている内容も研究態度自体も信用できません。また、「大きな物語」を描くためには、分かっていないこと・分からないことを補う想像力が必要になってきますが、何の根拠もない想像力はそれこそ学問として無意味なので、何らかの理論に依拠することになります。しかし、20年前のマルクス主義「流行」の終焉を持ち出すまでもなく、理論は時代思潮・時代情況の影響を最も受けやすいものです。その分、「大きなこと」の耐用年数は、「小さなこと」に比べ、非常に短くなります。重箱の隅をつつくような研究には意味がない、もっと大きなことを考えたらどうなんだ、という意見は、本当に学問をしたことのない人の妄言に過ぎません。惑わされないように、しっかり自分の専門と向き合ってください。