「思考型の歴史教育」への転換が必要とのことですが、授業の進め方など、先生には何か具体案がありますか。
大学の史学科の演習でやっているようなことを、もう少し簡易に、分かりやすく行ってゆけばよいだろうと思います。例えば、史料演習。そこから成り立っている定説ではなく、史料から何が読みとれるかを一人ひとりが考えて、グループ学習などで討論、意見交換してみる。古代から近現代まで少なくとも1つ、重要なトピックを選んで行ってゆけば、教科書の仮説性を理解することにも繋がるでしょうし、「詰め込み」の知識への理解も深まるはずです(単に記憶するのではなく、因果関係のなかで把握できるようになります)。また、初回でお話ししたように、身近な地域の歴史の調査から始め、ナショナル、リージョナル、グローバルへ拡げてゆく方法も効果的でしょう。いずれにしろ、ある程度時間的余裕がなければできないことで、その意味でも「歴史基礎」の設置は歓迎すべきかもしれません。