宮の名前がいろいろ出てきますが、これはどのように決められたのでしょう。

地名やその形状をもとにしたものがほとんどですね。伝承板蓋宮跡に重層する宮では、飛鳥岡の麓にあるので岡本宮岡本宮を継いだ後岡本宮、屋根の特徴に因んだ板蓋宮(寺院の瓦屋根との差別化を図ったものかもしれません)などとなります。天武天皇の浄御原宮はそれまでと比べると特殊で、政治理念に基づく命名とでもいえるでしょうか。壬申の乱という政治的混乱を経て、天下を安定に導く=清浄化するという考え方が表れているようです。当時は、秩序の混乱している状態を「汚穢」、安定して規律のある状態を「清浄」とするイデオロギーが存在しました。浄御原宮は、秩序や規律の象徴ともいえるでしょう。