犬養は、屯倉を守衛する犬を飼っていたそうですが、具体的にどのような種類の犬だったのでしょう。 / 犬や猫は、いつ頃から飼われていたのでしょうか。
最近報道もされましたが、イヌについては、縄文時代から狩猟等でのパートナーであったことが、考古学的な調査から明らかになっています。この頃の犬は体高45センチ前後、額段がないことが特徴で、南方起源ではないかと推定されています。弥生以降になると、大陸や半島から別種のイヌが人とともに渡来し、犬食の風習も伝わってきます。犬養が用いていたのは、大陸系のイヌでしょうね。ネコの飼育はイヌよりも遅く、史料的に確認できるのは平安時代になってからです。早い例では、例えば『宇多天皇御記』寛平元年(889)2月6日条に、宇多天皇自身が自分の飼い猫を誉めちぎった記録が残されています。本州にも野生種は存在した可能性がありますが、当初は狸等と明確に区別されていませんでした。家猫化し大繁殖してゆくのは外来種で、舶載された書物や穀物を鼠から守るため船で飼われていたものが、列島へ定住したものと推測されています。