春日若宮おん祭りで奉納されるような田楽と、庶民が田植えの際に踊った田楽とは、根源を異にするものでしょうか? / 猿楽とは物まねであるとの解説が付いていましたが、何を真似るのでしょうか。

基本的には同じです。専門芸能者が行った田楽は、農民たちが農作業に伴って踊った田遊びなどに材を得て、外来の要素等も採り入れ芸能化したものです。やがて形式化されたそれらを庶民がまね、逆輸入?の形で村落の芸能にも影響を与えてゆきました。寺社の祭祀や法会の余興としても、広く行われるようになったようです。現在でも、日本列島の各所に60ほどの田楽芸が伝存していますが、春日若宮おん祭りの田楽は、その最たるものといえるでしょう。ちなみに物まねとは、さまざまなキャラクターを演じ分けることを意味します。猿楽の系譜上にある現在の能でも、男性の役者が若い女性や老婆、子供の僧、翁、幽霊などをさまざまに演じ分けます。狂言になると、犬や蚊、キノコまで真似ますが、これらは私たちの考える「物まね」に近いかもしれません。