神社が、人間の欲望を肯定するものであるのは、日本人が無宗教であることとも関係するのですか。

よく日本人を無宗教であるというのは、あくまで西欧の価値基準に従って、キリスト教を宗教の典型とみなして述べるものです。日本列島にはその環境に根ざした宗教の形があり、それは必ずしもキリスト教的である必要はありません。日本列島では古くから自然信仰が強く、外来のさまざまな宗教も流入し、極めて複雑かつ多層的な宗教文化を構築しています。初詣から始まって季節に応じた各種の祭礼、お彼岸・お盆の先祖供養、その他冠婚葬祭など、現在年中行事として行われているもののほとんどは宗教儀礼であり、その意味でも日本人は無宗教なのではありません。むしろ多宗教と定義すべきでしょう。