基本的な問いで申し訳ないのですが、そもそも「精霊」とは何なのでしょう。神と同義でよいのでしょうか。とすると、熊は神への供犠ではないのですか。

キリスト教の「聖霊」とは違います。アニミズムの説明でも述べましたが、生命そのもののことですね。万物に共通です。現在のスピリチュアリズムに託して述べるなら、「霊魂」といってしまってもよいかと思います(アニミズム自体、「万物霊魂論」と翻訳されていますし)。面白いことに、この精霊の本当の姿は、多くの民族において、人間と同じものと考えられています。精霊の世界では、いかなる動物も、人間と同じ姿で暮らしているのです。これをヒト中心主義の所産をみなすか、あるいはもっとプリミティヴな認識の限界とみなすか、いろいろ考え方はあるでしょう。私は、キリスト教でいう人間の善性の本質=「神の似姿」も、もとはこのアニミズムの考えから来ているのではないかと考えています。