ワニについては、大別して3つの考え方があります。1つ目は、南方の神話的要素として実際のワニのイメージが入ってきているという考え方、2つ目は、ワニをサメの異称とする見解、3つ目は、南方のワニのイメージは引きずっているものの想像上の動物であるという見方です。『古事記』に描かれるワニをみていますと、海を泳ぎますし、どうも現実のワニとは違うようです。しかし、トヨタマヒメの出産シーンなどを読んでみますと、身体をのたくらせる様子は蛇のようで、サメとも少々異なる。やはり、多様なイメージが混ざり合った想像上の動物、とするのがよいのかもしれません。