精霊の世界はアジア特有だとのことですが、ヨーロッパの錬金術などで、同様なものの見方があるのではないでしょうか。

私が「特有」といったのは、人間も動物も死者も生者も渾然一体となった、魂の原郷のような他界観のことです。錬金術の思想には、確かにキリスト教以前の古ヨーロッパ的発想も混じり合っているようですが、やはりさまざまな要素を神秘的に繋ぎ合わせた「新しいものの見方」とすべきでしょう。しかし、例えば歴史学者のカルロ・ギンズブルグが指摘しているような、ヨーロッパを含む汎ユーラシア的なシャーマニズムにおいては、上記の「魂の原郷」が息づいていた可能性は高いように思います。同『ベナンダンティ』『闇の歴史』(ともにせりか書房)などを参照してください。