イオマンテの火の神の話を聞いて、アイヌ文化でも火と死が密接に繋がっているのだなと感じました。ところで、アジアでは火葬が一般的なのに対し、ヨーロッパでは土葬が多いですが、これは宗教の相違から来ているのですか。
うーん、それぞれがたどった歴史的プロセスの相違、とみるべきでしょうね。日本で火葬が一般的になったのは非常に新しいことで、例えば東北地域などでは、1970〜80年代くらいまでは土葬が主流だったのです。前近代においては日本列島中が土葬であって、火葬はほとんど行われていませんでした。しかも中世までは、社会的に上層な階級でない限り墓は作られず、庶民の遺体は路上、原野などに遺棄されていたのです。ヨーロッパでも、とくにキリスト教の浸透後は、煉獄との関係から遺体を燃やすことは忌避されました。結局近現代に至るまで、両者は葬法においては同一だった、といえるかもしれません。