人間が書いた物語のなかに出てくる動物というと、私は「桃太郎」の犬・猿・雉を思い出します。これは、なぜこの3匹だったのでしょう。

桃太郎の敵は鬼ですが、陰陽道の考え方では、東北すなわち丑寅の方角を鬼門とし、よくないモノが侵入してくる入り口と考えます。それと対称的な方向が、未申(ヒツジサル)=南西、酉(トリ)=西、戌亥(イヌイ)=北西などですが、このうち日本にいない未が除かれ、方角的には異なるものの辟邪の霊力を持つと考えられていた犬が加わって、サル・トリ・イヌが構成されたと考えられます。ちなみに3は、中国的文脈では世界を象徴する基本的数字として神聖化されていました。3の枠組みのなかで、鬼と対立する動物を当てはめたのでしょう。