神話やかぐや姫にみられる異星人のような存在は、学界などではありえないことなのでしょうか。超古代文明などはどうでしょうか。

まず、神話や伝承、昔話などに出てくる存在をなぜ宇宙人、異星人などと捉えるのかという点が問題です。そういう類の書物は世のなかに氾濫していますが、たいてい史資料を恣意的に読解しているか、先入観を持って読んでいる。あるいは、史資料などまともに読んだことがない、当該時代についての知識もほとんどない、というものばかりです。超古代文明も同じことです。かぐや姫も異星人ではありません。中国で形成された天人流謫譚という物語、神仙世界で罪を犯した天人が地上に「島流し」にされるという形式に基づくものです。満ち欠けを繰り返す月は、世界各地で死と再生の象徴と考えられ、永遠の生命のもたらし手とみなされていました。ゆえに中国では、不老不死の仙人が住む世界と位置づけられたのです。百年枯れることなく青々した葉を付け続ける竹も、同様に長寿や不死の象徴でした。中国では、月のなかに永遠に枯れない桂があると観念されていましたが、日本では竹をその代替と考える場合があったようです。かぐや姫は、そのような想像力のなかから生まれたものです。