境界について質問があります。柳田・水野・佐々木のどの話も時間は夜ですが、境界ということで、夕方が死者と出会う時間にされることはありますか。逢魔が時とはいいますが…。境界の時間と死者はどうなのでしょうか。

夕方の時分は「黄昏」と書いて「たそがれ」と読みますが、これは「誰そ彼」の意味、すなわち「あれは誰だ」ということです。薄暗くなり、ものの具体性、輪郭が曖昧になって、知っている人でも見分けがつきにくい。さまざまなものの境界が曖昧になるということは、人と人以外のもの、生者と死者などの区別も曖昧になることを示します。よって夕方の時間帯は、化け物や幽霊に出くわす「逢魔が時」となるのです。また、やはり幽霊のよく出るという丑三つ時は、夜が明ける直前の時間帯です。夜の闇は、明るくなる直前が最も濃いといいますが、元来はやはり境界の意味なのでしょう。