兔の表象が面白かったのですが、再生のシンボルが淫乱の象徴のようになってしまうのはどうしてでしょうか。日本では、海外の思想が伝わってきたためですか。 / 性器崇拝と聞くと、何ともいえない気恥ずかしさや後ろめたさを感じます。性的なものがタブーになっていったのは、いつ頃のことでしょうか。

性的な倫理観の厳格化による場合が多いでしょうね。日本はその点、もともと極めて大らかでしたが、近代化の過程で(少なくとも建前的には)禁忌視が進んだようです。また、家父長制的な思想や仏教が、男性の視点から女性の生活をコントロールするため、例えば複数の異性との関係などを悪業、罪業として強調した点も指摘できます。以前に何かの関係で掲げた『日本霊異記』などにも、子供がいるにもかかわらず複数の男性と関係した女性が、死後乳房の腫れ腐る業罰を受ける物語が載せられています。