〈殺された女神〉に基づく土偶祭式以外には、指摘のとおり、生命力が衰えている人間の「よくない部分」を土偶に移し替え、それを破壊するという見方も提示されています。いわゆるヒトカタの方法で、7〜8世紀あたりになると、文献でも説明できる形で頻繁にみられるようになります。しかし、それこそ既存の祭祀・呪術の形式に引き付けて理解しすぎのような気がしますし、破片となった土偶をそれぞれバラバラの場所に埋める理由が説明できません。現在はやはり、〈殺された女神〉の形式に、時期に応じてイコンや護符などの信仰形態を加味していった方がよいようです。