日本の昔からの死生観と中国の古代思想との関係を知りたい。

日本列島の死生観も、時代によって大きく変質してきているので、「昔からの」というだけでは難しいのですが、通時代的に中国の影響が大きいことは間違いありません。例えば古墳文化ですが、近年ではやはり中国の神仙思想の枠組みで理解すべき点が多く出ています。中国から将来された三角縁神獣鏡などが神仙世界を描いたものであることはよく知られていますが、前方後円墳自体、やはり神仙世界の壺中天を表象する「壺型墳」なのではないかとの意見もあります。卑弥呼が行ったという「鬼道」は、中国的文脈で考えれば祖霊信仰、もしくは道教的な信仰なのでしょうし、纒向遺跡から大量に見つかっている桃核は、神仙思想における不老不死の象徴と位置づけられています。邪馬台国以降、中国文化は王権の権威を象徴するものとなってゆくわけですから、弥生〜古墳時代以降の列島の宗教文化は、中国や半島からの波状的な情報伝播とその吸収・消化・組み換えのなかで理解しなくてはならないでしょう。