弥生時代の灌漑システムは、具体的にどのような構造の、どのような機能を持つものだったのでしょうか。

2500年ほど前に北部九州に伝わってきた稲作技術の特徴は、例えば禰宜田佳男氏によって、イ)堰と水路という灌漑システムを伴っていた、ロ)乾田でも半乾田でも適応できる技術であった、ハ)機能分化した木製農具をはじめ新たな道具を伴っていた、ニ)水田稲作の技術だけではなく文化総体が伝播してきた、と整理されています。また広瀬和雄氏によると、弥生時代の技術で堰き止めることのできた河川は幅10m未満のもので、その制約が当時の集団間の交渉や連携にも影響したと推測されています。