水田稲作の伝来ルートについて幾つかの学説が挙げられていましたが、それらはどのように導き出されたのですか。

近年では、稲のDNA分析が行われ、縄文時代に日本列島に入ってきた稲がどの場所で産出されたものなのかが確認されています。しかしそれは、あくまで原産地の確認であって、伝来ルートを導き出したことにはなりません。原産地から列島に至るまでの東南アジア、東アジア諸地域の稲作の展開、それに用いられた技術や付属する文化(祭祀や芸能、絵画など)を比較して、弥生文化に連続するものを導き出しています。例えば、授業でお話しした鳥の表象などは、中国の雲南地方から朝鮮半島まで確認できますが、古代の段階で復原できるのは江南→山東→遼東→朝鮮のルートです。