『もののけ姫』の話題が出ましたが、鉄を作る集団は、自分たちで稲作をしたりはしなかったのですか。

難しい問題です。製鉄を行う際には、山を切り崩して砂鉄を採り、これを溶解するための登り窯丘陵斜面などに設けます。そして、周辺から伐採してきた樹木を薪炭材として高熱を生み出し、鉄を精錬してゆくのです。この作業は極めて専門的で、自然環境への負荷もかかります。製鉄作業を行っている山林の麓の地域では、山の保水力が低下するために洪水が起きやすくなり、耕地も埋没なども生じたはずです。恐らく、同じ集団が稲作も並行して行うことはなかったでしょう。友好関係にある集落と鉄/作物の交易をしていたか、大きな集団の傘下に入り、労働にみあった食糧供給を受けていたものと考えられます。