エリアーデの研究で、ヨガの修行経験から神秘体験を得たのではとの話がありましたが、もともとヨガはどのような経緯で生まれたのですか。

ヨガはサンスクリット語のYoga、漢語では「瑜伽」と書きます。原義は「結びつけること」、自己と世界、法、超越者との合一を図る瞑想行で、仏教に至って大きく発展しました。広義においては、日本でいう坐禅に相当します。中国に仏教が伝来した3〜5世紀頃には、西域などでかかる行法が盛んであり、中国でも瞑想修行中に神仏と遭遇し、新たな教えを賜与されたり、覚りを開くこと=成仏の予言を得たりすることが流行しました。日本では現在でも、比叡山延暦寺にて、菩薩戒を受ける前に仏を観なければならない瞑想修行が義務づけられています。研究者がちょっと修行したくらいで神秘体験することが可能なのか、とのリアクションもありましたが、エリアーデの試みが「研究者くらい」で済まなかったことは、その著作を読めば分かります。