自然の精霊に対する信仰から、祖先信仰へ移ってゆく過程が気になります。人間が社会的存在になってゆくにつれて、このような変化がどこでもみられるのでしょうか?

あらゆる宗教が共通の発展段階を単線的に辿るとはいいきれませんが、概ね文化の方向はヒト中心主義へと向かってゆきますので、その過程で、自然から人的存在へ崇拝対象が変化することは往々にしてみられます。そこには、例えばアニミズムにおいても動植物の精霊が人間の姿で表象され、多くの神仏もまた人間に近い姿を採るように、人間の想像力の限界という面もあります。しかし、文化が発展したことで人間が自然を自らの下にあるものと幻想するようになり、結果として祖先信仰、人格神信仰を強固にしてゆくとの流れが、残念ながら一般的ではありますね。