『日本書紀』は韓国の『三国史記』とかなり異なる部分があると聞きましたが、例えばどのような点でしょうか。

日本書紀』は8世紀の段階でヤマト王権の立場から、『三国史記』は12世紀の段階で高麗の立場から書かれていますので、朝鮮諸国とヤマト王権との関係(使節の位置づけなど)を中心に異なる記述は多く出てきます。時代的には『日本書紀』の方が古く史料的価値は高いわけですが、イデオロギー的正当化が強く、その意味で『三国史記』との比較・検証作業には意味があります。なお『日本書紀』には、「百済本記」「百済記」「百済新撰」という、百済王朝の史書に由来すると推測される記録の断片があり(百済の滅亡により将来?)、日朝関係の史的復原において重要視されています。