古墳が死後の住居ではないとするならば、家形埴輪も生前の住居とするのが妥当ではありませんか。

この感想が幾つもあったので、皆さん同じように考えるのだな、と少し驚きました。竪穴式石室と埴輪との関係性自体がまだ議論しうるところなので、必ずしも「古墳が死者の住居ではないから、家形埴輪も死者の住居ではない」とはいえないようです。例えば、古墳は死者の国への入口であって、遺体はあくまでその「抜け殻」として密閉されている、埴輪列は死者の世界を表現している、と考えることもできます。実際に、中国には「魂魄」という考え方があって、「魂」は天へ昇るものの「魄」は地上に留まる。考古学者のなかにはこれを援用し、古墳は「魄」を安置するための施設だとする見解を述べているひともいます。また、家形埴輪が生前の住居を表しているとすると、古墳の墳頂にそれを荘厳する意味は何なのか、という疑問も生まれてきますね。