死者の魂は、シャーマンなどを通じて生きた人間に語りかけますが、死者が言葉を持つまでには一定の時間が必要な気がします。どれくらいの時間を経ると、死者は負のエネルギーを持つだけの存在から、言葉を持つ存在になるのでしょうか。

面白い質問ですが、時代や社会によって、その考え方にはずいぶん違いがあるでしょうね。例えば日本の風習では、50年を「弔い上げ」として、人間としての個別性を伴った霊魂から浄化された祖霊へ移行する時期、と考えています。東アジア化した仏教では、49日の間は死者の魂は他界と現世の境界に留まり、その期間を経て次の輪廻転生へ移行すると考えました。死者の語りが死者そのものの声であるのか、あるいは神霊の声であるのかは、上記のような相違に基づいて決まるものと思います。