装飾古墳壁画の復原は想像によるものではなく、実際の遺跡にある程度残った顔料をもとに行っていますので、色彩や形などほぼ正確なものと思います。顔料には、赤、青、黄、緑、黒、灰、白などがありますが、古墳時代にはすでに漆器もあり、刷毛目を持った土器が出土していることからハケのような道具があったことは確実で、それらを利用して描かれたとみられます。王塚古墳の夜空が朱で覆われているのは、それ自体で夜を表現しているのではなく、暗闇の持つ邪気を祓おうとしているのではないかと思われます。珍敷塚古墳では、昼の世界も夜の世界も、背景は青色で塗られています。