府官制に関して、中国では、幕府のような存在が力を持ち中央の権威を打ち倒した例が存在するのでしょうか。

厳密な意味で府官制のもとでの、といいうるかどうかは分かりませんが、例えば劉宋の前の東晋においては、首都建康(南京)東方の京口広陵を拠点とする北府、荊州を基盤とする西府という二つの軍事民政機関があり、それぞれが北朝の侵攻を食い止めるための重要な役割を果たしていました。そのリーダーには、やはり鎮北将軍、征北将軍、安西将軍、征西将軍などが当てられ、特定の家や一族が多く任用される場合もあったようです。東晋の実権を掌握しその禅譲を受けて宋王朝を開く劉裕は、北府の武将として反乱の鎮定に功をあげてきた人物でしたので、やはり「幕府将軍が中央の権威を打倒した」事例とはいえそうです。