古代の実在が確認されていない天皇にも陵墓がありますが、それはいつ頃作られたものなのでしょうか。

古墳は古墳時代に造営されたものなのですが、どの古墳がどの天皇の陵墓に当たるかは、まず7世紀末、浄御原令の制定に関連して設定されたものと考えられています。『書紀』によれば、持統天皇5年(691)、「先皇、自余王有功者」の陵墓を守衛する陵戸・百姓戸の設置が命令されており、この頃までに、『帝紀』をはじめとする諸資料に基づき先皇陵・有功王墓が特定され、公的守衛や祭祀の台帳となる陵墓歴名が作成されたようです。この名簿は、多少の改変を経て『延喜式』にまで受け継がれますが、その場所表示には限界があり、古代の設定が現在にまで精確に踏襲されているかどうかは疑問が残ります。いずれにしろ、実在しない大王=天皇の古墳は、律令制の発足とともに「創られた」といえるでしょう。