『捜神記』463で、嵐が40日間続いたと出てきますが、確かノアの洪水も40日間でした。「40日」には、何か意味があるのでしょうか。

ユダヤ文化における「40」という数字は、潔斎にまつわる聖数のようですね。ノアの洪水のほかにも、モーセ十戒を得るまでにシナイ山に隠っていた期間、イエスが荒れ野で断食をした期間として出てきます。また、イスラエルが荒れ野で放浪したのもの「40」年ですね。少し穿ったいいかたをすれば、死と再生の期間ということになるでしょう。ドイツの民族学者ネリー・ナウマンの研究によれば、人類文化における最初の聖数は、東西南北という方向を分節した「4」であり、以降それを細分化する形で倍数的に聖数が生み出されると考えられています。「40」も4の倍数として意味を持つものかもしれません。ユダヤと『捜神記』の共通性が、偶然によるものか伝播によるものかは、現時点では回答が出せません。