レヴィ=ストロースの構造神話学を用いてレポートを書きたいのですが、二項対立の問題以外に注意すべきことはありますか。

やはり、神話が自然/文化の媒介として作用する、ということでしょうか。レヴィ=ストロースによれば、神話の構造が構築されるとき、人間は動植物の種の間にあるさまざまな相違を手がかりに用い、二項対立の図式を生み出してゆくとされています。例えばトーテム信仰などは、かつてはトーテム動物と部族との内的な関係にばかり注意が払われていましたが、レヴィ=ストロースによって、トーテムは動植物の世界における種の相違を部族に当てはめ、部族の相違を示したものであるとの考え方が提示されました。すなわち、ミミズク・トーテムの本質はミミズクとその部族との血縁関係にあるのではなく、ミミズクがネズミとは異なること、すなわちミミズク・トーテムとミミズ・トーテムが異なることにあるというわけです。いいかえれば、人間は自然を慎重・厳密に観察することで文化を構築しているわけであり、自然/文化は神話創造のなかでダイレクトに交渉しているということになるのです。