倭国が武から文への転換を図ったとのことですが、その背景にあった半島の紛争における敗北の連続には、どのような原因があったのでしょうか。

一般的な問題としては、やはり渡海することの物心両面におけるストレス、限界でしょうね。半島へ軍兵を送ることには、物資・人数の点で大きな制約がありますし、言語の問題などを考えると、百済加羅などの国々と連携して戦うことにも種々の問題が伴う。かといって独自の行動が取れるかというと、半島における利権を失ってゆく分だけ地理的な事情などにも疎くなってゆき、身動きが取れなくなってゆく。王権の軍隊を構成する諸地域の豪族たちに、そうしたリスクを冒してまで出兵する必要があるのか、との気運も広がっていたかもしれません。いずれにしろ、軍事国家を長期に維持してゆくのは、一般常識的にかなりの国力が必要だということです。