久米邦武が、厩戸王出生譚をイエスのそれと結びつける見解を提出しています。イエスだけに限らず、英雄の特別な誕生の仕方を物語る異常出生譚ですので、物語の形式として伝来してきていたとしてもおかしくはありません。ちなみに、当時の王族の実名は、養育された氏族やその地名などを冠するので、厩戸も宮のなかの馬屋ではなく、地名か氏族名を指すものと思われます。厩戸王出生の地と伝える橘寺の付近には、鎌倉時代には厩戸の地名が確認されており、この場所を意味するのではないかとの見解もあります。詳しいことは不明ですが、厩戸王がイエスだとする考え方は飛躍のしすぎでしょうね。
