大兄制では同母集団が重視されていますが、そのことと神道における最高神が女神であることとは関連しますか?

神道における最高神がアマテラスだという考えは、実は非常に新しいものです。例えば国学の代表的思想家のひとり平田篤胤などは、アマテラスは現実世界の主宰神に過ぎず、それを包括する幽冥界の主宰者オオクニヌシこそが最高神だと考えていました。明治の神道事務局祭神論争によって、神道はアマテラスを最高神とする方向へ大きく舵を取りましたが、それ以前はもっと多様な考えが存在するものだったのです。そもそも古代ということになれば、神道自体が体系的な宗教としては存在しておらず、地域や階層によってさまざまな考え方が存在していたはずです。極論すれば、地域によって最高神と位置づける存在は違っていたともいえます。皇室の主宰神さえ、かつてはアマテラスではなくタカミムスヒだったという見解もあります。飛鳥の宮廷文化のなかに存在する母系要素、ということで整理することは可能ですが、直接的に繋げてしまうと問題がありそうです。