「高誘注型」とのカテゴライズを用いて、授業で扱ったような神話・伝承を、環東シナ海文化圏全般で扱った研究というのは、実はぼく以前には存在しないのです。授業で扱ったものは厖大な数のなかの典型的なものですが、明確な高誘注型の形式を採るものはほとんどすべて取り扱っています。ほかに探せるとすれば、中国民間・少数民族の洪水神話、朝鮮・日本の伝説・昔話の類でしょう。ガイダンスで挙げたぼくの論文 「環境／言説の問題系―〈都邑水没〉譚の成立と再話／伝播をめぐって―」（『人民の歴史学』199、2014年）に、史料の類を含めて参考文献が網羅されていますので、そこから探してみてください。
