神話の歴史化と歴史の神話化という現象を、どのように説明すればいいのでしょうか。

この点をお話しするには、神話/歴史をそれぞれどう定義するかが重要です。ここでは、以前にお話ししたように、無時間性(起源性)/時間性(過程性)という区別を立ててみましょう。まず前提となるのは、エリアーデのいうように古代が神話的な時間にあたり、これ以降が神話を放棄し歴史的な時間を取ると考えると、神話の歴史化/歴史の神話化は、歴史的な時間のなかにおいてしか起こりえないことになります。ゆえにこれは、王権や国家の正当化に絡む極めて政治的な問題となります。まず神話の歴史化ですが、これは起源を過程に置き換えるということですから、水からの立場を神話=起源によって直接正当化するのではなく、前代の王権・国家などを含めて継続的に理解してゆくということを意味します。すなわち、正当性の根拠を太古の一点に置くのではなく、前代からの悠久の時間を経た「継承性」に置くことに見出すわけで、正当化の表現の仕方の転換といえるかもしれません。それに対して後者は古代的であり、逆にその「継承性」を排除する、すなわち前代の王権・国家の積み重ねをリセットして、自分だけを太古の一点に結び直すという作業になります。日本の明治維新などは、「近代化」のスローガンとは裏腹に後者に当たるといえるかもしれません。