物語に登場する生物たちのイメージは、どのように決まってゆくのでしょうか。 / 木道令伝説で、虫が出てくることに違和感がありました。朝鮮や中国では、よく登場するのでしょうか。
物語に登場する動物がどのような役割を果たすか、あるいはどのようなイメージを持つかは、概ねそれぞれの地域の文化的特性に応じて決まってきます。例えば、野生と文化の境界にあって、常に人間の世界へ侵入してくるキツネは、人間を騙すずる賢い動物として扱われます。この点は西洋・東洋で共通していますが、しかし牧畜よりも農耕に重きを置く日本では、キツネは畑を荒らす小動物を駆逐してくれることから、神としての意味づけもされています(稲荷など)。逆にいうと、物語のなかに現れる動物のイメージを比較してゆくことで、それが語られる地域の文化的特性を明らかにすることができるのです。