神道というひとつの宗教のなかにも幾つかの派があり、重んじる神々が違うことから、「神道」にまとめてしまってもよいのかという疑問が生じました。キリスト教のプロテスタントやカトリックの問題と似ていますか?

日本の現代人にとってもっと身近なのは、やはり仏教の形態でしょう。仏教も、ゴーダマ・シッダルダの説いた教えを基盤にしつつ、本当にたくさんの宗派へ枝分かれしてゆきます。分派のもとになっているのは、どの経典を自らが救済される方法と採るかであって、それぞれの宗派で依拠する経典が違い、その経典によって供養する本尊(仏の種類)も違ってきます。それでもご存知のとおり、みな「仏教」なのです。神道の場合も基本的な世界観は共有されており、そのうちどのような論理に基づきどの神格を主宰神として崇めるかで差異が生じているに過ぎないので、やはり「神道」に違いないのです。