日本の棚田の灌漑方法などを、もっと詳しく教えてください。

山間部に田を開くことは、古代から中世にかけてだんだんと進行し、現在みることのできる景観は、主に近世から近代にかけて成立したと考えられています。当初は、付近を谷川が流れている、豊富な湧水があるなど灌漑しやすい地域から開発され、井堰の設置や用水路の掘削、溜め池の造成、逆サイフォンの設置など技術の発達によって、次第に水源地から離れた広汎な地域へ広がるようになってきました。今回の授業では、議論の流れからマイナス部分の方を強調する結果になってしまいましたが、棚田が作成される地域は水が豊富なため、もともと洪水や土砂災害が頻発していたので、棚田が一時遊水池のような働きをして保水機能を担ったり、強固な畔が土砂留めの役割を果たすなどプラス面もあったのです。重労働であることや生産性の低さなどから放棄されていた棚田が、近年になって再評価された原因の一端はここにあります。