先生は、今後日本人はどのように環境問題を捉えるべきだと思いますか。 / いま現在の情況で、将来はどのような自然環境になると思われますか。

IPCCの未来予測では、主に地球温暖化によって、数十年後にはかなり破滅的な情況が予測されています。現在気象の震幅が極端になる異常気象が各地で起き、災害も多発していますが、人為的影響による環境の急激な変化がもたらす現象なのでしょう。早急に我々の価値観自体を改めてゆかなければ、未来はないものと思います。日本的な心性は、とにかく自らを厳しく律し、失敗を失敗として反省するという傾向が極めて弱い。逆に、重要な問題を忘却したり、責任を回避し自己正当化を押し進めてゆく傾向は非常に強いと思われます。それは、「そうした状態でも生存が許された」自然環境の豊かさゆえでしょう。しかし、その環境がもう保持してゆけないとすれば、どこかで大きな方向転換をしなければなりません。列島の環境史に人間の刻んだ傷跡をしっかり見据えて、膨脹志向を捨て、未来を思考してゆく必要がありますね。