八百比丘尼像の持物である椿が気になりました。花がまるごと落ちるので首が落ちるようで不吉、と聞いたことがありますが、葉の方に注目が集まったのでしょうか。

確かに、その類の伝承は列島中に広がっています。しかし、江戸初期には公家や武家の間で椿のコレクションが流行し、徳川秀忠もコレクターのひとりでした。「首が落ちる」系の忌避の傾向は、もう少し後の時代に、武家文化の定着と一般化のなかで生じたものでしょう。信仰は葉へ、忌避は花へ向いているといういい方もできるでしょうね。