捏造事件で出土した石器がなぜ偽物とされるまで時間がかかったのか。

やはり、彼の学界における地位と期待、それに伴う権力の強さ、また彼を取り巻く東北社会の期待の強さが、充分な検証を行うことを鈍らせたのでしょう。実は、藤村氏の業績を疑う見解は、以前から根強く存在したのです。「まさか捏造まではしていないだろう」との、同じ研究者に対する信頼、常識が邪魔をしたこともあったと思います。藤村氏のしたことはもちろん誤りであり、よくないことですが、それを封殺してきた周囲の責任は甚大であると感じます。