中国が医療において細かくとっていたデータなどは、きちんと一般へ還元されていたのでしょうか。それとも、特権階級のみが蒙る恩恵だったのでしょうか。

多くの医書に書かれ、一般へも流通していました。しかし、高価な医薬を用いる処方は庶民には施せないわけで、その点には自ずから処方の相違が発生してきます。ひとつの病から生まれた処方でも、患者がどのような経済状態、社会的・政治的地位にあるかによって、異なる形式が採用されたとみられます。この点、次回で取り扱う、天平9年に国家が示した天然痘処方の階層化(二極化)に関わってきます。次回、詳しくお話しします。