仏教は国家的廃仏を北魏・北周によって受けたとのことですが、そもそも他教との「競合」という概念が生まれたのは、他教に脅かされることを恐れたからでしょうか。

例えば北魏の廃仏などは、寇謙之という道士の唱える天師道=道教を国教にしようとした崔浩が、太武帝を唆し、廃仏を断行させたという経緯があります。仏教は教線を拡大するために、儒教道教としばしば論争を重ねてきており、そうした経験の果てに「業病」の選択もあると理解すべきでしょう。しかし、儒教道教儒教は対立するだけでなく融合も達成してきており、例えば北魏廃仏からの復興とともに編纂された『提謂波利経』では、仏教の五戒(不殺生・不偸盗・不邪淫・不飲酒・不妄語)・儒教五常(仁・義・礼・智・信)・陰陽五行説の五行(木・火・土・金・水)は同じものだという言説が展開されています。