縄文時代に戦争はなかったとのことですが、どのように工夫をして平和を維持していたのでしょうか。

まず、貧富の差やそれに基づく階級の発生を防ぐ、皆殺しになるような大規模な戦争を防ぐ、という工夫が存在したものと思います。前者については、とにかく狩猟や採集によって獲得したものを平等に分配する、という規則が徹底されていたはずです。集団で狩猟をするには、それを統括するリーダーは必要でしたが、稲作のような組織化された労働、専門的分業は必要ありません。むしろ、集団のまとまりをいかに保つかが成功/失敗の鍵を握ったはずで、成員個々人としても、平等性が維持された方が都合がよかったと考えられます。後者については、種々の小競り合いについては発生していたはずですが、お互いに殺し合って巨大な犠牲を出してまで相手の権益を奪うより、これを回避して棲み分けた方が利益の大きい環境条件であったわけで、例えば衝突が起きるとお互いにギフトを贈与しあうなど、軋轢を緩和する仕組みがさまざまに存在したと考えられます。