大規模集落に環境が耐えられなくなるとは、具体的にどういうことですか。

人間が集住する場合は、その狩猟採集の領域も、居住地を中心とした限られた領域に固定されてゆきます。もちろん、前回お話ししたように縄文は弥生以後よりその範囲が「広い」わけですが、それでも集落の人口が増加してくれば、その領域を拡大してゆく以外に選択肢はなくなってゆくでしょう。しかし、やはり居住地が固定されている以上はその拡大にも限りがありますし、周辺に集落があれば「縄張り」の衝突が発生する危険もある。人口密度がそれほど高くない段階では自然の再生力と均衡を保っていた食文化が、例えばある野草を取り尽くしてしまったために枯渇したなど、種々の弊害が起きることになる。それを避けるために、あるいは情況を改善するために、集落を解散しより広汎な場所へ移動していったと考えられるのです。