「夷」という字はエビスと読むそうですが、エビスというと神様や幸運のイメージがあるので意外です。

エミシからエビスに転訛したもので、文字どおりの夷狄、外敵、辺境の人々、といった意味ですね。『日本書紀』などをみると、元来は強力な男といった、必ずしもマイナスのイメージばかりではなかったようです。中国で東方の蛮族を表す漢字「夷」が当てはめられたり、やはり未開な印象をもつ「毛人」といった表記が採られたりしたことで、それらに引きずられていってしまったのでしょう。いわゆる七福神のエビスは、江戸時代には同音異義語とみられていたようで、『日葡辞書』には別の言葉として立てられています。