受験のときから疑問に思っていたのですが、高地性集落と環濠集落の違いは何でしょうか。高地性集落は初期は瀬戸内海周辺に密集していましたが、その後分布の変遷はみられたのでしょうか。

環濠集落は、防備のための環濠を持った弥生時代に一般的な集落形態で、主に平地に築かれています。高地性集落は瀬戸内海地域を中心に丘陵状地形に築かれたもので、水田耕地とは隔絶しますが、周囲を見渡せる地政学的に重要な位置を占めています。かつてはその立地などから倭国大乱と結びつけられ、後の山城のような軍事的拠点と考えられることが多かったのですが、近年の発掘成果は、むしろ戦乱の痕跡は少なく、青銅器や金属器、土器などの流通・集散拠点であり、また水陸の交通を押さえ監視する役割を担っていたのではないか、との見解が強くなってきています。古墳時代になると北陸の方からも検出されていますが、時代情況や地域的特性などから、個別の性格について論じるべきではないかとの見方が説得力を帯びている情況です。