日本は主に中国から医療の知識を得ていたようですが、他の地域からは得ていなかったのですか。

『医心方』をみますと、『百済新集方』『新羅法師方』の書名がみえます。前者は肺病系のものと腫れもの系のもの、後者は仏呪房術に腹部のしこりに関する記述となっています。これらがどう将来されたのかは分かりませんが、中国の医書に引用されていたというより、半島から直接もたらされた可能性が高いでしょう。7世紀以前は百済との外交関係が密接で文物の将来が頻繁でしたし、新羅仏教も日本の古代仏教に大きな影響を与えています。朝鮮半島から医学的知識を得ていたことは、間違いないでしょう。