神岡5号銅鐸の長脚鳥の横に描かれていた動物は、カメにみえるのですが何ですか。また、当時から「長生き」のような発想があったのでしょうか。

これは縄文のときにも、弥生の時間にもお話ししたと思いますが、補足的に。銅鐸に描かれているのはカメで、やはり水田周辺でみられた動物と思われます。当時、亀に対する神聖性がどの程度あったかは分かりませんが、中国や半島から何らかの知識が入っていた可能性はあります。縄文の段階としては、現在の分類でいうと爬虫類ながら、水辺と陸地を往来する(両生類的な)姿に死/再生を重ね合わせた可能性があります。中国では、その甲羅に神意が表れるとの発想が殷代よりあり、卜占の素材として牛の肩甲骨に代わって用いられ、世界の統治の方法を示した「洛書」を甲羅に負って出現した、との神話も残っています。ツルと一緒にいると次代の吉祥図を想像してしまいますが、まだそこまでの認識には至っていないでしょう。